code#16160eでタグ「故郷」が付けられているもの

久し振りに目にする田舎が、垢抜けていないと嬉しいのは何故だろうか。
牧歌的な空間で経過する時間は、心なしかゆっくりとしている。

日常のしがらみを忘れ、他愛のない話に興じる日々。
置き去りにしてきた愛着との再会。

空虚な人生の中の楽しかった思い出が、此処に埋もれている。
まるで意図して切り放した自分の側面が目を覚ましたかのようで、少し戸惑った。
私は誰にも干渉されない場所で、何も考えず、素直に悲しみに暮れていたかったのだ。
故郷のお陰で自分の望みを見付け、果たす事ができた。

生産性を美徳とする毎日の中では、無意識に思わしくない出来事を、合理的な記憶へ変造しようとしてしまう。

それを「然るべき」と評す反面、どことなく違和感を拭えずにいた。
此処に来てようやくそれに気が付いたのだ。


過去の現実を反芻する現実逃避。

気が済んだら直面している現実を受け入れなければならない。

愛する人を失った事。
祖父が私を覚えていなかった事。
これはある種の死と言える。

当人は健在だが、互いの心が通う日は二度と来ない。

私の中の貴殿方は死に、貴殿方の中の私もまた死んだのだ。

この屍となった絆も含め、せめて私は記憶を刻もう。

此処と、心に。

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8年振りの帰郷。
認知症となった祖父が、自分を覚えてくれているうちに顔を見せに行くためである。

日本の冥界、黄泉比良坂のあると言われる地が私の故郷だ。

親族との軋轢で、彼の地を踏む事はもうないと思っていた。
これが最後になるかもしれない。


傷心旅行がてら・・・と、最初は軽く考えていたが、もっと深いものとなりそうである。

明日は有給休暇を取ったので、ちょっとした小旅行だ。
大事に過ごそう。

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